旅の思い出 万葉の岬(兵庫県相生市)
旅の思い出 万葉の岬
日がな一日
宿の窓から眼下の瀬戸内の海を眺めていた
長旅疲れで八十六才の母は寝息をたてている
父の故郷の海
島々が見え
いくつかの舟がゆったりと浮かぶ
あれが父が言っていた山だろうか
道にマムシがいて走って飛び越えたとか
これが父が言っていた海だろうか
造船所に働きに行く舟に乗ろうと 海に落ちた人がいたとか
父が話していた相生の昔が次々と浮かんでくる
今は母も亡くなった
瀬戸内の海は
今日も 穏やかだろうか